人間である以上、万が一、という事態は誰にでも等しく存在します。
会員本人がなんらかの理由で故人となってしまった場合、その会員が貯めていたポイントやマイルはどうなるのでしょうか?
会員本人が亡くなったとき、そのポイントやマイルは身内の方々が引き継ぐことはできるでしょうか?実際に相続することは可能なのでしょうか?
そんな疑問がふつふつと湧いてきました。
少量のポイント程度なら失効しても痛みませんが、数万マイルともなるとかなりの高額ですし、生前の会員がせっかくこつこつと貯め続けたものをみすみす失効させてしまうのも気が引けます。
そういった疑問や事情を踏まえて、今回は故人のポイントやマイルを他の人間が相続できるかどうかという点について調べてみました。
この記事によって分かること
ANAマイレージは故人のマイルも相続可能!
ANAではANAマイレージクラブの利用規約に、故人のマイル相続について記載されています。
「21条・会員の死亡」によると、会員が死亡した場合、法定相続人は会員が取得していたANAマイルの譲渡を受けることができる、とあります。
「21条 会員の死亡
会員が死亡した場合、法定相続人は、会員が取得していたマイルを、所要の手続きが完了した時点で有効な範囲で承継することができます。その際、当該法定相続人は、故人である会員のマイルの相続権を有することを証明する書類を弊社に会員の死亡後6カ月以内に提示する必要があります。相続の申し出が前記の期間内になされない場合は、当該会員の積算マイルはすべて取り消されます。」
(ANAマイレージクラブ会員規約より引用)
相続の際に、会員本人の死亡証明書と裁判所命令など、会員の口座に残っているマイルの相続権を有することを確かに証明する書類を、会員死亡後の6ヵ月以内にANA側に提示する必要があります。
相続の申し出が期間内にされない場合は、会員の積算マイルはすべて取り消されますので、相続を考えている方は半年以内に申請をしましょう。
また、ANAでは「ANAカードファミリーマイル」といって、家族間でのマイルを合算できるサービスも展開しています。
個々で見ると特典航空券に手が届かない中途半端なマイル数でも、家族でまとめれば結構なマイル数になり、あっというまに特典と交換することができます。
なおファミリーマイルに参加できるのは、日本在住のクレジット機能付きANAカード会員の方、その家族でANAカード個人会員の方、同一生計の方で同居されている配偶者の方と一親等以内の方となります。
登録は無料です。貯めたマイルは使えるうちに家族で共有して有効に活用したいですね。
JALマイレージも所定の手続きにより相続可能!
JALでも会員規約に故人のマイルについて記載されています。
通常、JALでは積算されたマイルを会員間で共有、合算および譲渡することはできませんが、家族カードプログラム会員、もしくはJALファミリークラブ会員は、クラブの特典として、特典の引き換え時に限り登録している家族会員間で積算マイルを合算することができます。
会員の死亡時に所定の手続きをすれば会員のマイル口座に残る有効なマイルを相続する事が可能です。
「14条 合算不可 積算されたマイルを会員間で共有、合算および譲渡することはできません。
ただしJALFCおよびJALカード家族プログラム登録会員は、そのプログラムの特典として、特典の引き換え時に限り、登録している家族会員間で積算マイルを合算することができます。
また会員の死亡時は法定相続人は所定の手続きにより会員のマイル口座に残る有効なマイルを相続する事が可能です。」
JALでは特典の引き換え時に限り、JALカード家族プログラムもしくはJALファミリークラブに登録している家族会員間で積算マイルを合算することができます。
JALカード家族プログラムは年会費無料。JALファミリークラブは年会費こそ無料ですが、更新料として入会後5年ごとに1家族につき1,000マイルが自動で引き落とされるようになっています(自動引落が不可の場合は自動退会)。
スカイマイルとマイレージプラスの相続について
JALやANA以外のマイレージでも、死亡時のマイル相続については、だいたい利用規約の中に記載されています。
ですが、マイル相続自体を受け付けていない航空会社も存在します。
たとえば大韓航空のスカイパスは、身内でも貯めたマイルを相続することは認めていません。
スカイパスのFAQに書かれているので引用します。
「他界した父のマイレージを受け継ぐことはできますか?
スカイパスのサイト利用規約に基づき、亡くなられた会員の方の口座および累積マイレージは継承されず、自動的に消滅します。
マイレージは会員本人が獲得・使用することを原則としています。大韓航空を含むほとんどの航空会社は、マイレージの継承を容認していません。」
(スカイパスFAQより引用)
と書かれています。どんな理由があってもマイルは会員だけのものなので、たとえ故人となっても譲渡や相続を認めないマイレージも結構多いようです。
なお、デルタ航空のスカイマイルも、会員の死亡が発覚した時点で、その会員のマイル口座は閉鎖されてしまいます。
生前に譲渡できるトランスファーマイル
「死後の相続」だけではなく、生きている間に家族や友人に移行できるのであれば、生前に贈与をするという手もあります。
貯めたマイルは沢山あるものの、病気で動けなくなったのでマイルの使い道がなくなり、親戚や友人にそれらを譲りたい、といった状況も珍しくはありません。
そういった事情に対応できるのが「トランスファーマイル」です。
デルタ航空のスカイマイルとユナイテッド航空のマイレージプラスは、親族はもちろんのことそうじゃない友人にでも、自身が貯めたマイルを譲渡することができます。
譲渡方法もいたって簡単。公式サイトでマイルを受け取るマイル会員の会員番号と名前を入力するだけです。
スカイマイルの場合、1 回の手続きでマイルを譲渡できる人数は 4 名までですが、手続きの回数に制限はありません。
また手続き一回で1,000 マイル単位で 1,000 マイル以上、最大 30,000 マイルまで譲渡できます。
1年で最大 150,000 マイルまで移行することができます。
ちなみにトランスファーマイルを利用する費用は 1 マイルにつき $0.01 。
プラス、 1 回の手続きにつき $30.00 の処理手数料がかかります。
なおユナイテッド航空の場合、1つの会員口座に1年で15,000マイルまでマイルを譲渡でき、1マイルにつき0.015ドル(USD)および35ドルの手数料がかかります。
手数料を考えると、マイルの状態で譲渡するよりも、マイレージ・プラスの特典(マイルではない)に交換してから譲渡したほうがいいでしょう。
マイレージ・プラスでは特典を友人や家族に譲渡することが可能となっていて、ホームページ上から友人や家族へプレゼントする特典旅行の予約と発券もできます。
マイルの譲渡についてはこちらで詳しく解説します。
クレジットカードのポイントはどうか?
いくつか知名度が高いポイントでも、合算や引継ぎができるのかどうかも調べてみました。
Tポイントの場合
Tポイントは、それぞれのTカードに貯めたポイントを、1枚のカードにまとめる(統合する)ことはできません。
つまり、家族間でそれぞれTカードを持っていても、それをひとつにまとめることはできません。
同様に会員が故人となっても、そのポイントを家族のTカードに移すことはできません。
ただしTカードとネットT会員番号の両方を持っている場合は、TカードにTポイント(ネットT会員番号)をまとめることができます。
ネットT会員でTサイトにログインし、「パーソナル情報メニュー」→「登録情報変更」→「今までTカードを持っていなかった方」から持っているTカード番号を登録することによってポイントを合算できます。
Pontaポイントの場合
ポンタカードの利用で貯まるPontaポイントは、家族間でポンタ口座をひとつ作り、そこにそれぞれが貯めたPontaポイントをまとめることができます。
グループメンバーは9人まで登録可能で、代表オーナーの一人の口座に個々でカードを使って付与されたポンタポイントが貯まっていく仕組みになっています(貯めたポイントはオーナーのみ利用可能)。
楽天ポイントの場合
楽天カードの利用で貯まる楽天ポイントは、保有するポイントを他の会員に譲渡したり、会員の間でポイントを共有・合算したりすることはできません。
一人の会員が楽天市場で複数の会員登録をしていても、それぞれの保有ポイントをひとつに合算することも不可能となっています。
会員が故人となった場合も同様です。楽天ではカード会員以外がポイントを使うことはできません。
ただし「家族でポイントおまとめサービス」を使えば、楽天カード保有者とその本会員に紐づけられている家族カード間で楽天ポイントを移行できます。
移行できるのは「本カード⇔家族カード」または、本カード会員が同一の「家族カード⇔家族カード」だけです。
永久不滅ポイントの場合
セゾンカードの利用で貯まる「永久不滅ポイント」ですが、「ファミリー合算」といって家族間でのポイント合算システムが存在します。
カードを自己の名義で保有する家族のうち、同一住所かつ同姓の家族間でポイントを合算することができ、100ポイント以上100ポイント単位での移行が可能です。(ただしセゾンカードの永久不滅ポイントとUCカードの永久不滅ポイントを一緒にすることはできません。
合算は同じ種類のカードを持っていた場合のみに可能です)
ただし、会員が死亡した場合は、商品との交換及び合算に関する一切の資格がなくなります。
つまりファミリー合算はできますが、故人になると合算も譲渡もできなくなるという仕組みです。
貯まっていたポイントもそのまま失効という形になりますので、ご注意ください。
アメックスのポイントの場合
アメリカン・エキスプレスカードの利用で貯まるメンバーシップリワードは、会員が基本カード会員として2枚以上の対象カードを保有する場合、もしくは対象カード以外のアメリ
カン・エキスプレスのカードを保有する場合のいずれにおいても、ポイントを合算することはできません。
譲渡できるシステムも、会員が故人になった場合にポイントを引き継げるサービスもありません。
ただし、参加登録費3,300円(税込)を払って「メンバーシップリワードプラス」に登録した会員のみ、基本カード会員として2枚以上の対象カードを保有する場合においてポイントを合算することができます。
ちなみにアメリカン・エキスプレスのコーポレート・カードのポイントを、アメリカン・エキスプレス個人向けカードのポイントと合算することも可能です。
ダイナースカードのポイントの場合
ダイナースカードの利用で貯まる「リワードポイント」ですが、リワードポイントは会員が故人になった場合でも相続はできません。
規約の13条でポイントの譲渡や相続は不可能とはっきりと記載されていました。
基本的にクレジットカードのポイントは合算できるケースこそあっても、故人のものをそのまま引継ぎできるシステムは用意されていないところがほとんどです。
そういう意味で貯めたポイントは早めに使うのがよいでしょう。
2015年1月9日 作成
2021年12月1日更新
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