VisaやJCBなのに、クレジットカードじゃない支払いサービスって何?

Visa(ビザ)、Mastercard(マスターカード)、JCB(ジェーシービー)と聞けば、何を想像しますか?やはり「クレジットカード」ではないでしょうか。もちろん正解ですが、クレジットカード以外でVisa、Mastercard、JCBの支払いサービスがあるのはご存知でしょうか。

VisaデビットカードやJCBデビットカード。どこかで聞いたことがあると思います。Visaデビットカードは、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行が発行しており、JCBデビットカードはみずほ銀行が発行しています。他の大手銀行、地方銀行、インターネット銀行も発行していて、支店、ATM、テレビ、電車内の広告で宣伝しています。国際ブランド(Visa、JCB等)のマークがついたデビットカードのことで、世界中の加盟店で利用することができます。国際ブランドデビットカードとも呼ばれていますが、クレジットカードとは何が違うのでしょうか。

10,000円分の買い物をクレジットカードで支払う場合、カードの磁気部分を専用端末でスワイプし、金額等を印字された伝票にサインするか、ICチップ部分を挿入して暗証番号を入力します。1回払いの場合、代金の10,000円は翌月か翌々月の指定日に、他の支払いと合算して引落しされます。

これに対し、国際ブランドデビットカードで支払いする場合、サインや暗証番号入力という手続きは同じですが、代金の10,000円は銀行口座の預金残高から即時で引落しされます。その際、預金残高が10,000円未満だと利用できません

このほか、au WALLETカードという、Mastercardマークのついたカードがあります。これはクレジットカードでも、デビットカードでもなく、Mastercardのマークがついたプリペイドカードです(*)。ほかにも、ソフトバンクカード(Visa)、おさいふPonta(JCB)といった国際ブランドプリペイドカードの発行が増えています

10,000円分の買い物を国際ブランドプリペイドカードで支払う場合も、サイン等の手続きはクレジットカードと同じです。違いとして、代金の10,000円はあらかじめチャージしておいたバリューの残高から引落しされます。

*デビットカードとプリペイドカードを総称して「デビットカード」と呼ぶ場合もあります。

国際ブランドのデビットカードやプリペイドカードは審査がなく、海外やインターネット取引に使えるのが特長

このところ、国際ブランドのデビットカードやプリペイドカードを目にする機会が増えました。利用金額も急増しています。それは、次のような特長があるためです。

  • 発行に審査がなく、だれでも持つことができる
  • 海外、インターネット取引を含め幅広く使うことができる
  • 残高の範囲内で使えるため、使い過ぎの心配がない

海外やインターネット取引で使えるのはクレジットカードも同じですので、「だれでも持つことができる」という点が有用です。商品により違いはありますが、おおむね16歳以上、中には12歳以上で持てるものもあります。
修学旅行や卒業旅行などで海外に行く場合、カード払いのほうが盗難や紛失を考えると現金より安心です。また、高額紙幣を使おうとすると、お店での偽札チェックに時間がかかったり、まれに使えないこともあるため、カード払いは便利です。特に、国際ブランドデビットカードの預金残高から海外のATMで現地通貨の引出しができるのは他の支払いサービスにはない利便性です

なお、子どもがインターネットで取引をすることには賛否あるようですが、ここまで普及しているインターネット取引を大人になるまで経験しないのは、むしろ問題です。プリペイドカードを持たせ、使い方のルールを決め、あとは自由に使わせるというのも、経験上良いことだと思います。

クレジットカードを持てない人、使い過ぎを心配する人、クレジットカードにはない利便性を感じる人はいますので、今後も国際ブランドのデビットカードやプリペイドカードの利用金額は増加し続けると思います。ただし、これらの利用金額はクレジットカードと比較してまだまだ少ないです。当面は、クレジットカードの利用金額の伸びのほうが大きく、その差は拡がっていくと思います。

(今後、支払いサービスがどのように変わっていくかは、また別の機会にお話ししたいと思います。)

海外で主流のデビットカードが、日本ではあまり使われていない理由

日本は現金社会だという話を耳にすることがあります。これは本当でしょうか。クレジットカードの利用金額(2016年はキャッシングを除き48兆円)を、家計最終消費支出(同293兆円)で割ったクレジットカード利用比率は16%です。クレジットカード発祥の地、アメリカでは20%ですので、あまり違いがないように見えます。

一方で、国際ブランドのデビットカードとプリペイドカードを合算した利用比率は1%に満たず、J-Debitや電子マネー(WAON、nanaco、Suicaなど)を足しても2%です。アメリカでは、Visa、Mastercardの2ブランドだけで、デビットカード、プリペイドカードの利用比率は16%に達します。ここの差が大きいのです。

さらに、ヨーロッパや中国ではデビットカードが支払いサービスの主流です。日本は、現金主義というより、デビットカードがほとんど使われていないという点が特徴的です。日本と比較し、海外の多くの国には次のような背景の違いがあります。

  • クレジットカードもデビットカードも銀行が発行しており、クレジットカードは日本でいう「リボ専用カード」を指すのが一般的である
  • 銀行口座の開設にも審査があり、だれもが口座を保有できない。また、口座開設しても、一定以上の預金残高がないと口座維持手数料がかかる場合がある

つまり、海外ではメインバンクが発行するクレジットカードとデビットカードの両方を持ち、リボ払いのときはクレジットカード、即時払いのときはデビットカードと使い分けをしているのです。さらに、銀行口座を開設できない人や、口座維持手数料を支払いたくない人が、プリペイドカードを利用するという側面があります。

日本では、クレジットカードのリボ払い、分割払い等の利用金額は5兆円強で、残り42兆円は1回払いです。1回払いだと金利はかからないため、クレジットカードを使っている人が、わざわざデビットカードに切り替えるほどの利点はあまりありません。また、年会費やポイント特典で比較して選ぶ場合、デビットカードより、クレジットカードに軍配があがることが多いのも実態です。ゴールドカード、プラチナカードといった上位カードのラインナップも含め、クレジットカードのほうが豊富な選択肢があります。

しかし、それ以上に、日本の国際ブランドのデビットカード、プリペイドカードの普及が遅れている原因は「使えない店」があることです。これは、国際ブランド(Visa、Mastercard、JCB)のマークがついたお店が少ないという意味ではありません。国際ブランドのマークがついていても、ガソリンスタンド、高速道路など、使えない場合があるのです。(実際にどこで使えるかは、カード発行会社によって異なります。各社のホームページ等で確認できます。)

カード払いができないと、結局は現金を持ち歩く必要が出てきます。当然のことですが、「どこでも」「安心して」使える支払いサービスでない限り、なかなか普及しないものです。

何年か先には違った意見もあるかも知れませんが、やはり、「Visa(Mastercard、JCB)といえば、クレジットカードのことだ」と皆さんが感じている間は、クレジットカードが一番なのです。


加藤 総(かとう そう) コンサルタント(金融・決済・教育に関する新規事業支援)、ベンチャー企業役員等。クレジットカード会社に約10年勤務後、デビットカード事業の立上げに参画するため、インターネット銀行に転職。カード事業の責任者など、約7年勤務したあとに独立。現在は、金融・決済・教育分野の新規事業参入支援のほか、各種調査、講演活動等を行うかたわら、カード業界向けの専門誌「月刊消費者信用」への連載寄稿のほか、「カード決済業務のすべて」「電子決済総覧2015-2016」等への執筆協力を行う「お金」の専門家。

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