JALとANAサービス比較

飛行機への搭乗だけでなく、街中でのショッピングでもマイルを貯めることができるということで、航空系のクレジットカードを活用しているという方も多いのではないでしょうか。

しかし、マイレージプログラムは航空会社ごとに違いがあるため、「なんとなく」で選んでしまうと「思ったよりも得していなかった」というケースが少なくありません。

そこで今回は、国内2大エアラインであるJAL(日本航空)とANA(全日本空輸)の違いについて、それぞれのダイヤモンドステータスを取得した私が感じたことをまとめてみました。

クレジットカード(JALカード・ANAカード)の違いとは?

JAL・ANAのマイレージプログラムでは、いずれも普段の買い物でマイルが貯まるクレジットカードが用意されています。ここでは、それぞれのカードの違いを紹介します。

JALカードのマイル還元率

JALカードで買い物の支払いをすると、通常200円につき1マイル(還元率0.5%)が貯まります。

さらにマイルの還元率を上げるオプション「ショッピングマイル・プレミアム」(年会費4,950円税込)に入会することで、100円につき1マイル(還元率1.0%)が貯まるようになります。

また、エネオス、大丸、イオンといった「JALカード特約店」ではマイルが通常の2倍貯まるため、ショッピングマイル・プレミアムに加入した上で買い物をすることで、100円につき2マイル(還元率2.0%)貯めることができます。

なお、JALカード以外にもJALマイルを貯めることのできるカードがあります。たとえば「Marriott Bonvoyアメリカンエキスプレス・カード」の場合、貯まったポイントを手数料無料でJALマイルに移行することができます。これを活用することで、実質還元率は最大1.25%となります。

同様に、クレディセゾンのクレジットカードに加入すると利用できる「セゾンマイルクラブ」でもポイントのマイル移行が可能で、1.125%の還元率が可能となります。


 

ANAカードのマイル還元率

ANAカードでは、JCB、Visa、Mastercard、AMEX、Dinersなど国際ブランドを選択することができます。通常の買い物時にANAカードで支払いをすると、いったん各ブランドのポイントが貯まることになります。

このポイントは、各ブランドの公式ポイントプログラムに沿ってマイルに移行することができます。その際の還元率は通常200円につき1マイル(還元率0.5%)、10マイルコース加入で1%ですが、マイル還元率の高いカードも用意されています。

例えば「ANA VISAプラチナ プレミアムカード」のマイル還元率は1.5%と高いです。


 

還元率を1%に上げるコストは?

JALカードとANAカードはいずれも基本の還元率は0.5%です。これを1%に上げるためには、JALカードの場合は「ショッピングマイル・プレミアム」に加入する必要があるため、年会費4,950円が発生します。

ANAカードの場合、提携する国際ブランドのポイントプログラムで「10マイルコース」を選択することで還元率を1%に上げることができますが、そのコストは国際ブランドごとに異なり、JCBでは年間5,500円、VisaとMastercardでは年間6,600円となっています。

このことから、よりコストをかけずに1%の還元率を達成したいのであれば、JALカードが有利と言えます。

◆JALカード「ショッピングマイル・プレミアム」について

  • マイル還元率1%
  • JALカード特約店でマイル還元率2%
  • 年会費4,950円(税込)

◆ANAカード「10マイルコース」について

  • マイル還元率1%
  • 年会費5,500円(JCB)、6,600円(Visa)

JALカードの継続マイル

航空会社のマイレージサービスでは、ショッピングや搭乗以外でも「ボーナスマイル」と呼ばれるマイルが貯まることがあります。継続マイルとはそんなボーナスマイルのひとつで、毎年のカード更新時にもらうことができます。

ただし、JALカードでは継続マイルは提供されておらず、それに近いサービスとして「毎年初回搭乗ボーナス」が用意されています。これは、入会搭乗ボーナス獲得年の翌年以降、毎年最初のご搭乗時にプレゼントされるマイルです。

毎回初回搭乗ボーナスは、普通カードとJALカードnaviの場合、1,000マイル。CLUB-Aカード、CLUB-Aゴールドカード、JALダイナースカード/プラチナの場合は2,000マイルとなっています。

ANAカードの継続マイル

ANAの場合、ANAカードを保有しているだけで継続マイルを獲得することができます。獲得できるマイルは、一般カードで1,000マイル、ゴールドカードで2,000マイル、プレミアムカードで10,000マイルとなっています。

JALカードのマイル有効期限

マイルには有効期限が設定されており、その期限を過ぎた場合、失効してしまいます。JALカードの場合、有効期限は搭乗(利用)日の36ヶ月後の月末までとなっています。たとえば、2020年8月1日に搭乗した場合のマイルは、2023年8月末まで有効です。

ANAカードのマイル有効期限

ANAカードのマイルの有効期限も、JALカードと同様、利用日の36ヶ月後の月末までです。

なお、ショッピング利用でもマイルが直接貯まるJALカードとは違い、ANAカードを利用してショッピングでは、いったんカードのポイントが貯まり、それをマイルに移行する形式となっています。

そのため、「カードポイントの有効期限+ANAマイルの有効期限(36ヶ月)」といった形で、JALカードと比較して有効期限を引き伸ばすことができます。

またANAはダイヤモンドサービスメンバーかミリオンマイラー(ライフタイムマイル100万達成)、JALはJMBダイヤモンド会員とJGCプレミア会員、「JGC Five Star」(ミリオンマイラー)は有効期限がなくなります。

マイルから「エアライン通貨」への交換

「ANA SKY コインは、ANAウェブサイトで航空券や旅行商品(国内ツアー・海外ツアー)のお支払いにご利用できる電子クーポンです」

「e JALポイントは、JAL Webサイトでの航空券・ツアー購入にご利用いただけるポイントです」

ANA SKY コインは「電子クーポン」、e JALポイントは「ポイント」とそれぞれ定義されていて、細かいレギュレーションは違いますが同等の位置付けのものです。ここでは便宜上「エアライン通貨」と呼ぶことにします。

JAL、ANAいずれも、獲得したマイルを航空会社独自の「エアライン通貨」に交換できるプログラムを用意しており、JALのマイルは「e JALポイント」、ANAのマイルは「ANA SKY コイン」に交換可能です。

これは外資系航空会社には無い、ユニークなサービスです。

エアライン通貨は、それぞれの航空会社の航空券購入やツアー代金の支払いに充当することができます。そのため、「マイルを特典航空券に交換したいけれど、交換分には少し足りない…」といったケースでも、「エアマイル通貨+現金で支払い」といった形で利用可能で、余ったマイルを有効活用することができます。

また、有効期限切れで失効しそうなマイルの延命にも活用することができます。

マイルからエアライン通貨への交換レートは、JALマイルの場合、「5,000マイル=1倍(5,000ポイント)、10,000マイル1.5倍(15,000ポイント)」となっています。

一方、ANAマイルの場合はマイル数やカードの種類、ステータスによっては 1.7倍(最大2倍)までレートを引き上げることができます。

なおエアライン通貨の有効期限はいずれも特典交換を行った日の1年後の同月末までとなっています。

◆エアライン通貨への交換レートについて

  • JALマイル 5,000マイル=1倍(5,000ポイント)、10,000マイル1.5倍(15,000ポイント)
  • ANAマイル 1倍~1.7倍(最大2倍) マイル数やカードの種類、ステータスにより異なる

e JALポイントは1年の有効期限がありますが、有効期限を延ばすのは簡単です。JALのマイルをe JALポイントに移行するだけですべてのe JALポイントの有効期限が延びます。それはANA SKY コインとの大きな違いです。

JALにあってANAに無いサービスは?

ここからは、JALにはあるけれどANAには用意されていないサービスを紹介していきます。

JAL国際特典航空券PLUS

「JAL国際特典航空券PLUS」は、これまで特典航空券の予約でキャンセル待ちになるような状況でも、追加マイルを負担することで特典航空券が予約できるサービスです。2018年12月に導入されました。

たとえば、日本発着ホノルル便の場合、基本マイル数は20,000マイルですが、予約可能な席に空きがない状況でも、ここに追加マイルとして「最大107,000マイル」を負担することで、予約できる日が増えます(満席など状況によっては、特典航空券を手配できない場合もあります)。

このように、基本マイルと比較して必要な追加マイルが大きいため、マイルをたくさん貯め込んでいる方向けのサービスと言えるでしょう。

なお、残り座席の状況によって必要な追加マイル数が高騰するため、エコノミーとプレミアムエコノミー、プレミアムエコノミーとビジネスの間で、マイル数が逆転することがあります。そのため、予約時には十分注意しておきましょう。

国際線特典航空券の片道予約

ANAマイルを使って国際線特典航空券を予約する場合、片道ではなく必ず往復で取る必要があります。当然ながら、片道と比較して往復の方がより必要マイル数は大きいため、「使いづらい」と感じる方もいるかもしれません。

一方、JALマイルは片道でも国際線特典航空券を予約することができるため、海外への渡航を考えている場合には、使いやすいサービスと言えるでしょう。

ステータスへのショートカット

JAL、ANAともに、一定の基準を満たすことで入会可能な上級会員制度を用意しています。

JALの上級会員制度は「JALグローバルクラブ(JGC)」、ANAは「ANAスーパーフライヤーズ(SFC)」という名称です。

そして、それぞれの上級会員制度には利用実績に応じたステータスが設定されており、たとえばJGCの場合、クリスタル、サファイア、ダイヤモンド、プレミアといったように分類されています。

このステータスを上げるためには、「FLY ON ポイント」が必要です。FLY ON ポイントは、フライトマイルをもとに自動換算が行われ、FLY ON ポイント口座にポイントが積算されていく仕組みです。

そのため、ステータスアップを目指す場合、地道に搭乗を重ねていかなければならないのですが、JGCではステータスを「ショートカット」できる方法がいくつか用意されています。

その一つが初回搭乗時のボーナスキャペーンで、JALカード会員が期間中(2020年8月時点では、2020年12月31日まで)にJALグループ便に登場するとFLY ON ポイントが5,000ポイント積算されます。

もう一つが、前年の搭乗実績でFLY ON ステイタスを達成したJMB会員を対象としたFLY ON ポイント1.5倍キャンペーンで、事前に好きな月を指定しておくと、その1ヶ月間の搭乗で積算されるFLY ON ポイントが1.5倍になるというものです。

なお、2020年はコロナウイルスの影響を受けて、2月1日(土)~7月31日(金)の間、1.5倍から2倍となる特別対応を行っていましたが、このような特別措置は毎年あるわけではありません。

搭乗回数によるステータス認定

ANAの場合、ステータスアップを狙うためには、ポイントをひたすら貯めなければなりません。一方、JALは搭乗回数でステータスアップが可能です。

具体的には、30回搭乗でクリスタル、50回でサファイア、80回でプレミア、120回でダイヤモンドとして認定されます。

ANAにあってJALに無いサービスは?

ここまでJALにあってANAに無いサービスを紹介してきました。そしてここからは、ANAにあるけれどJALには用意されていないサービスを紹介していきます。

特典航空券の空席待ちができる

JALの場合、特典航空券のキャンセル待ちはできなくなりました。そのため、希望の便が満席の場合は、都度サイトを確認して空席が出たタイミングで予約するか、別の空席がある便を予約する、あるいは国際特典航空券PLUSを使って高いマイル数で予約することになります。

一方、ANAであれば、満席の場合でも空席が出た場合に連絡をしてくれるキャンセル待ちのサービスを行っています。ただし、座席の振り分けは上位ステータスの会員が優先されるため、一般会員の場合は「待ち損」になってしまう可能性はあります。

ステータス保有者に毎年アップグレードポイントが付与される

JALのFLY ON ポイントに相当するのが、ANAの「プレミアムポイント」です。ANAの場合、前年度に獲得したプレミアムポイント数に応じて、独自の「アップグレードポイント」が付与されます。

アップグレードポイントは、座席クラスのアップグレードや同伴者のラウンジ利用、ANA SKY コインへの交換といった形で活用することができます。

なかでも注目したいのが座席クラスのアップグレードで、搭乗予定の便に空席がある場合、国内線(ANAグループ運航便)はプレミアムクラスへ、国際線(ANAグループ運航便・ユナイテッド航空運航便)はプレミアムエコノミー(ANAグループ運航便のみ)、ビジネスクラス、ファーストクラスへのアップグレードが可能です。

さらに「ダイヤモンドサービス」メンバーは、ANA国際線(ANAグループ運航便とANA便名の便のみ)に当日の空席があれば、アップグレードの対象とならないクラスを購入している場合でも、通常の2倍のアップグレードポイントを利用することでアップグレードできる場合があります。

この仕組みを活用することで、お得に座席クラスをアップデートすることが可能です。たとえば欧州路線で最も低価格なエコノミーを購入しておき、アップグレードポイントを利用して座席クラスをアップグレードする、といった形です。これがアップグレードポイントの最強の効果的な使い方です。

成田空港のアライバルラウンジ

ANAの上級会員制度「ANAスーパーフライヤーズ(SFC)」の会員であれば、成田空港の第1ターミナルにある「ANA ARRIVAL LOUNGE」を利用することができます。

「ANA ARRIVAL LOUNGE」は、海外から帰国して乗り継ぎ便を待つ際や、予約している成田エクスプレスに乗るために時間調整する際などに便利です。

一方、JALの場合はラウンジこそないものの、「JALグローバルクラブ(JGC)」であればナインアワーズが運営するシャワールームを無料で利用することができます(2021年3月31日までのキャンペーン)。

なお、羽田空港国際線ターミナルにも同様の設備として「TIATシャワールーム」が設置されていますが、こちらはSFC会員、JGC会員いずれも無料で利用可能です。

3つの視点からJALとANAを比較!

最後に、「マイルの貯めやすさ」「マイルの使いやすさ」「ステータスアップにかかるコスト」といった視点からJALとANAを比較していきます。

マイルの貯めやすさ

その点、前述したとおり、JALカードのマイルの有効期限は36ヶ月のため、「じっくり貯めて大きく使いたい」と考えている場合には不向きです。

一方、ANAカードであれば、カードのポイントからマイルに移行可能な仕組みとなっているため、JALカードと比べて有効期限を伸ばしやすく、より「マイルを貯めやすい」と言えるでしょう。

マイルの延命措置として、既に解説したエアライン通貨に交換するという方法もありますが、最大で1年の延長です。(JALはポイント追加すればさらに延長可能)

なお、ANAであれば「ダイヤモンド」ステータスの維持、もしくは総飛行距離(マイル口座に積算された搭乗分の区間基本マイレージの合計)100万LTマイルで認定される「ミリオンマイラー」となることで、

JALであれば「ダイヤモンド」もしくは「JGCプレミア」ステータスの維持か、国際線通算搭乗マイル100万マイルまたは国内線搭乗回数1,250回のいずれかを達成したJGC会員に与えられる「JGC Five Star」認定を受けると、マイルの有効期限が無期限となります。

また、ANAの場合、ダイナースカードであればポイント有効期限がないため、ポイントとして貯めておき、必要な場合にマイルに交換することで、実質無期限となります。

アメリカン・エキスプレス・カードの「メンバーシップ・リワード」も同様に無期限に貯めることが可能です。

マイルの使いやすさ

マイルから特典航空券に交換する際、必要となるマイル数という点では、国際的に比較してもANAが優れています(少ないマイル数で長距離移動できる)。

一方、そのお得さから「特典航空券が取りにくい」といった声も少なくありません。また、国際線では往復での予約しか取れないというデメリットもあります。

そのため、使いやすさの点でANAをおすすめできるのは、マイルリッチな方や、キャンセル待ちに有利なステータス上位の方、特典航空券が取りやすいレギュラーシーズン・ローシーズンに搭乗できる方です。

国際線を片道予約で狙いたい方、たまったマイルはすぐに消化したいと考えている方には、JALがおすすめです。

ステータスアップにかかるコスト

「マイル修行して、できるだけ早くステータスを上り詰めたい」という場合には、前述した初回搭乗ボーナスポイントや、FLY ON ポイントの1.5倍キャンペーン、また搭乗回数によるステータス認定など、低コストでステータスアップする仕組みが用意されているJALがおすすめです。

航空券購入にかかったコストを獲得したポイント数で割った数字を、ANAはPP単価、JALはFOP単価と呼びますが、上記のキャンペーン等により、総じてJALの方が少ない費用でステータスを上げることができます。

最終的には「お気に入り」を選ぶのがベスト

ここまでJALとANAのマイレージプログラムを様々な視点から比較して違いを見てきました。

航空会社の違いはマイレージプログラムだけではなく、運賃や路線数、機内サービスなど、様々なところに表れます。

そのため、マイレージプログラムだけで表面的に判断するのではなく、それぞれの航空会社に搭乗した上で、自分が「この航空会社好き」と思える航空会社を選ぶのが満足度が高くなるのでおすすめです。

2020年10月20日 作成
2023年7月1日更新


メルマガ皆さんは「ポイント還元率が高いから」「ポイントやキャッシュバックなどのキャンペーンが良かったので」「友人知人が使っているから」といった理由でカードを選ばれることが多いと思います。お得ばかりを追い求めてカードを作り続けるとポイントが分散して貯まりません。それは入口にフォーカスしているからです。

入口=どこで使うか、出口=カードになにを求めるか、決済金額=一年にどれくらい使うか。
この3つの要素が揃って、はじめて有効なクレジットカードを選ぶことができます。大事なことは最終的にクレジットカードに求めるものを明確にすることです。つまり出口を決めることから始まります。当サイトでは「出口から逆算して決済金額で最適化する」ことを提案します。

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