飛行機を利用する際、機内に持ち込める荷物の最大のサイズと最大の重さは決まっています。
そのため、スーツケースなどの大きな荷物は空港カウンターに預けて、飛行機の貨物として運んでもらうことになりますが、ときには遅延あるいは紛失してしまうトラブルも起こります。
今回は万が一、預けた荷物の遅延・紛失のトラブルに見舞われた際、現地でどうすればいいのか、その対策と解決法をわかりやすく解説します。
この記事によって分かること
ディレイバゲージとロストバゲージがある
空港へ荷物を預けた際、少ないとはいえ起こる可能性がある代表的なトラブルは「ディレイバゲージ」と「ロストバゲージ」の2つです。
ディレイバゲージは、正確にはディレイドバゲージ(delayed baggage)と言います。
遅れた(delayed)+荷物(baggage)という意味で、直訳通り「預けた荷物の、現地空港への到着が遅れること」を指します。
(日本では「ディレイバゲージ」という言い方で通用します)
なぜ荷物の到着が遅れるのかと言えば、預けたスーツケースが間違って別の飛行機に積み込まれたり、あるいは違う目的地へ運ばれたりなどすることが考えられるからです。
一方、ロストバゲージ(lost baggage)は、失われた・行方不明の(lost)+荷物(baggage)という意味で、直訳通り「預けた荷物の紛失」の意味となります。
遅延状態だった荷物が到着せず、紛失して、戻ってこない状態のことです。
ディレイバゲージやロストバゲージはどれくらいの頻度で起こる?
航空会社の信用にも関わるディレイバゲージやロストバゲージですが、いったいどれくらいの頻度で起こるものなのでしょうか?
国内大手航空会社ANAやJALなどにおいてロストバゲージが起こるのはごく稀ですが、2016年8月にはANAが国内線で大規模なディレイバゲージを起こした事例があります。
最終的には全ての乗客へ荷物が届いたそうです。
このように、万が一のトラブル時における対応も、国内航空会社はかなり優秀と言えるでしょう。
ただ、海外の航空会社だと日本のようにはいかないケースもあります。
特に、海外旅行で複数の飛行機の乗り継ぎをするときなどは、誤配、あるいは積み忘れなどによる遅延・紛失の可能性も高くなります。
もちろん、利用する航空会社によってその確率も変わってきますので、心配な場合は事前に調べて対策を講じておくことも肝心です。
ディレイバゲージやロストバゲージを想定した対策
ディレイバゲージやロストバゲージに遭遇する確率がゼロでは無い以上、これらを想定した対策を考えておくことが大切です。
ちょっとしたことも対策になりますので、まずは簡単なものからご紹介しましょう。
まずは「タグ」に関する対策です。飛行機を利用する頻度の高い方は、バッグやスーツケースを確認してみてください。
古いクレームタグ・バゲージタグが付いたままになっていませんか? これが荷物の振り分けや確認ミスの原因となり、荷物の遅延・紛失につながる可能性があります。
対策としては、預け入れる荷物に名前を書いたタグを付けたり、あるいは目印になるものを付けておくなどの方法があります。
良い意味で特徴のある目立つ荷物ならば、万が一の際に発見される可能性が高まることも期待できます。
次に「手荷物の持ち物」(機内持ち込みの荷物の中に何を入れておくか)に関する対策です。
例えば、コンタクトレンズや眼鏡、常用薬など「無いとすぐに困るもの」は預けずに、手荷物として持っておく方が良いでしょう。
コンタクトレンズや眼鏡がないと、目が見えにくい状態のまま現地で過ごさなければならないこともあるので、手荷物に入れておくべきでしょう。
また、常備薬については「同じ薬が海外でも簡単に手に入るわけではない」と心しておきましょう。
海外で認可されていない薬であったり、現地では一般的でない薬であったりするためです。
薬が手に入らないために、健康を害したり、時に命を脅かされたりしては大変ですので、やはり手荷物として持っておくことがおすすめです。
実際に空港で自分のスーツケースが見つからなかったらどうすればいい?
空港で自分のスーツケースが見つからない場合は、はじめに空港の職員に声をかけましょう。
次に、担当の職員へ荷物の番号を伝え、行き先を問い合わせてもらいます。
多くの場合、ロストバゲージ(完全紛失)ではなく、どこか別の場所に送られるなどしていますので、後日届けてもらうように手続きをします。
現地滞在中に荷物が届く場合はホテルの住所などを、滞在中に届かない場合は現住所(日本の自宅など)に届けてもらうよう、必要書類に届け先等を記載してください。
服や下着を買ったお金を航空会社が補償してくれる?
荷物が届くまでのあいだ、現地で必要なものを購入する必要があります。不幸にも荷物が完全紛失した場合も同様です。
具体的には、現地で 替えの服や下着を買う必要が出てくると思いますが、はたしてその分の費用は航空会社が補償してくれるのでしょうか? 結論から申しますと、費用の補償については「航空会社ごとに異なる」のが現状です。
例えばデルタ航空では、手荷物の遅延から最初の5日間について「1 日50ドル」の補償を実施しています。
なお、購入した物の領収書は補償申請に必要となりますので「領収書は必ず取っておくこと」を心がけてください。
一方、格安航空券会社(LCC)はあらかじめ特約等をつけていない限り、基本的にはロストバゲージに対する補償はありません。
したがって、自分で保険もしくはクレジットカードの補償などを用意しておいたほうがよいでしょう。
ディレイバゲージの時に日用品購入代金を補償してくれるクレジットカード
クレジットカードの中には、ディレイバゲージの時の補償を付帯したものがあります。
LCCのように、ディレイバゲージの時の補償が期待できない航空会社を利用する方なら、ぜひとも用意しておきたいと言えるでしょう。
なお、ディレイバゲージ補償付帯のカードの多くは、ロストバゲージにおける補償も付帯していますので、大変心強い存在と言えます。
以下、ディレイバゲージの時に日用品購入代金を補償してくれるクレジットカードをご紹介します。
海外の手荷物遅延補償10万円!セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードとセゾンゴールド・ アメリカン・エキスプレス・カード
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは航空会社に預けた荷物が6時間以上遅延した場合、必要な品物を10万円まで補償します。(現地到着から96時間以内の購入代金に限る)
ちなみにロストバゲージにも10万円までの補償が付帯しています。どちらも海外のみの補償です。
通常のセゾンアメックスとは違い、事業主向けの便利な機能が付いています。
経費の管理や明細書の管理などを便利にしてくれるこのカードは、事業主はもちろんのこと、普通の会社員の方でも持つことができる、通常のセゾンアメックスとは一味も二味も違うビジネスカードです。
年会費は22,000円(税込)。
セゾンゴールド・ アメリカン・エキスプレス・カードは航空機に預けた荷物が6時間以上遅延した場合、必要な品物を上限10万円まで補償します。(現地到着から96時間以内の購入代金に限る)
ちなみにロストバゲージでにも10万円までの補償が付帯しています。どちらも海外のみの補償です。
海外でポイント2倍、国内でも1.5倍になります。
通常のセゾンカードよりポイントも貯まりやすく、特典も満載のリッチな一枚です。
年会費は11,000円(税込)。
上記セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードと同様の補償で、年会費はリーズナブル。
実際にディレイバゲージに遭遇して保険金を受け取るまでの過程は、以下の記事をご覧ください。
海外だけでなく国内の手荷物遅延&紛失にも補償金を出してくれるクレジットカード
三菱UFJカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カードは航空会社に預けた手荷物の遅延などにより負担した衣料などの購入費に対して「手荷物遅延費用保険金」として上限1万円まで補償します。
ロストバゲージにも2万円までの補償が付帯しています。国内・海外どちらも補償対象です。
三菱UFJカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス®・カード会員だけの優待プログラム「スーペリア・エキスペリエンス」が利用できます。
例えば旅行の優待ならば、ホテルのウェルカムドリンク、朝食や夕食の特別メニュー、アーリーチェックインとレイトチェックアウト、スパやエステの優待などです。
年会費は22,000円(税込)。
海外のみ手荷物遅延補償付きの三井住友カード プラチナ
航空会社に預けた手荷物の遅延などにより負担した衣料などの購入費を、上限2万円まで補償します。(1回の遅延に対して)ロストバゲージにも4万円までの補償が付帯しています。
国内有名ホテル・旅館をアップグレードして利用できる「プラチナホテルズ」と、一流レストランのグルメサービス「プラチナグルメクーポン」(新サービス)などを備えたカードです。年会費は55,000円(税込)。
このように、遅延・紛失による損害の補償が目的であれば、かなりリーズナブルな年会費のカードもあります。
一方、プラチナカードは、年会費に見合うサービス、たとえば、プライオリティパス(世界の空港ラウンジが無料で使い放題)やコンシェルジュサービス(現地でのトラブル対応ほか、各種チケットの手配などが日本語でおこなえるサービス)が付いているカードもあります。
海外旅行での安心さ、快適さなどから、払った年会費以上の価値が実感できるケースも多いのです。
プラチナカードはサポートが手厚いので、言葉が通じない現地で手荷物が無い時には大変重宝します。
どうすればいいかなどを現地から相談でき、スムーズにトラブル解決できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
完全紛失された場合は帰国後に携行品の補償申請を!
滞在中に荷物が届かない。
さらには帰国後もまだ荷物が届かず、問い合わせても行き先が分からない(見つからない)というケースは「ロストバゲージ=完全紛失」となります。
この場合、単なる遅延(ディレイバケージ)とは別の補償が受けられます。
預け入れた荷物の中には、旅に必要な様々なものが入っていたことと思いますが、 それら携行品の金額を補償してもらえるのです。
ただし、「購入した携行品のリスト」は必要で、例えば、ネットショッピングで携行品を購入したら、明細書あるいは購入価格を含むリストをカード会社に渡すことになります。
そうしますと、カード会社で定められた補償の範囲内で、紛失した携行品の代金が返ってくるのです。
なお、完全紛失の際の補償は、航空会社でも受け付けている場合がありますので、カード会社と航空会社の両者へ申請したほうが良いでしょう。
完全紛失の際の補償の例として、例えばユナイテッド航空では「紛失手荷物とその中身の相当額について、アメリカ国内線フライトでは1人あたり最高3,500ドル、国際線フライトでは所定の限度額まで請求可能(1,500ドル超の相当額のケース)」となっています。
請求の際はやはり、必要書類を用意してください。
備えあれば憂いなし
観光庁によりますと、2015年の日本人海外旅行者数は1,621万人にのぼります(*)。
その多くが飛行機を利用し、手荷物を預けていると考えれば、扱われる荷物がどれだけ膨大かがお分かりでしょう。
つまりディレイバゲージやロストバゲージに遭遇する可能性は誰にでもあります。
利用する航空会社がどこまで補償してくれるかを事前に確認し、必要に応じてクレジットカードの付帯保険などで、きちんと補償してもらえるように先手を打っておくことが得策です。
もちろん、荷物の遅延・紛失補償のみならず、コンシェルジュサービスなどが付帯したカードを持っていれば、からだ一つで現地に着いてからも、落ち着いて余裕を持って動けますよ。
2017年10月3日 作成
2021年7月8日更新
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