「請求書カード払い」は、支払い期日が迫った請求書などを、銀行振込ではなくクレジットカードで支払うことができるサービスです。「請求書支払い代行サービス」とも呼ばれることがあります。
BtoB決済では、通常、請求書の発行と銀行振込の組み合わせが一般的です。しかし、請求側がクレジットカード決済に対応していない場合、支払側には銀行振込以外の選択肢が限られてしまいます。
このような場合、「請求書カード払い」を利用することで、支払い手続きが簡単になり、支払い期日の延長も可能になります。
具体的には、クレジットカードで支払うことで支払いをカードの締め日まで先送りにでき、結果としてキャッシュフローの改善につながるというメリットがあります。
さらに、クレジットカード決済には、ポイント還元やキャッシュバックといった付加価値も得られます。
これにより、単なる決済手段としてだけでなく、コスト削減や資金効率の向上という観点でも有利に活用できる可能性があります。
一方で、注意すべきデメリットもいくつかあります。
例えば、手数料の負担についてです。銀行振込では数百円で済む手数料が、請求書カード払いの場合、決済手数料が2.7%~4.4%程度発生するため、取引額によっては数千円から数万円に達することがあります。特に高額な取引ではこの差が顕著になるため、コスト意識を持った利用が重要です。
また、処理時間の点でも銀行振込と比べて劣ります。銀行振込は遅くとも数時間で完了するのに対し、請求書カード払いでは登録から振込完了まで最短で翌日、最大で5営業日かかることがあり、リアルタイムでの決済には不向きです。
2023年から、多くの請求書カード払いサービスが登場しました。ここでは、代表的な5つのサービスを紹介します。
基本的な仕組みは同じですが、それぞれに特徴があるため、利用者の視点から比較していきます。
- 支払い.com
- INVOYカード払い
- DGFT請求書カード払い
- 三井住友カード 請求書支払い代行サービス
- マネーフォワード請求書カード払い
支払い.com
- 手数料4%(税別)UPSIDER は3%(税別)
- 指定のカード(セゾンカード・UPSIDERカード)利用時は翌営業日。通常のカード利用時は2営業日
- 最低金額は1万円
- 利用できるカードはVisa、Mastercard、セゾンアメックス、UPSIDER
手数料4%(税込4.4%)と他社と比較すると手数料は高めです。ただ、一番支払い先に対する制約が少ないです。
請求書が不要(※)なため、月額賃料や月極駐車場代金など、毎月請求書が発行されない支払いにも対応できます。同様に、取引先の法人番号も要求されないため、マンション管理費のように支払い先が法人ではなく組合である場合でも利用できます。(※不正防止の観点から資料の提出を求められることがあります)
個人事業主、法人を問わず利用することが可能です。
利用できるカードはVisa、Mastercard、セゾンカード発行であればブランドは問いません。つまりセゾンアメックスが使えます。
INVOYカード払い
- 手数料3%(税込)(1万円未満は一律300円)
- 振込日は3営業日以内とされていて指定できない
- 利用できるカードはVisa、Mastercard、JCBブランド
2024年1月22日より、JCBカードでの支払いに際して、請求書や支払内容が確認できる書類(契約書など)の提出が必須となりました。
また、2024年12月1日以降の利用分から手数料が改定され、支払額が1万円以上の場合は支払額の3%、1万円未満の場合は一律300円が適用されるようになりました。
また、請求書の提出に伴う手続きをスムーズに行えるよう、アップロードした請求書の内容を自動で読み取り支払い情報を自動入力する機能が、かんたんカード払いにも導入されています。
DGFT請求書カード払い
- 手数料3%(税別)1万円以下は一律300円(税抜)
- 利用できるカードはVisa、Mastercard、JCBブランド、セゾンカード
振り込みは、土日・祝日を除く営業日を指定でき、カード決済から最短で3営業日以内に行われます。
なお、個人事業主が発行した請求書は利用できません。請求書の送信が必要であり、取引先は法人である必要があります。また、審査も行われます。
三井住友カード 請求書支払い代行サービス
- 手数料3%(税込)1万円未満は一律300円
- 振込は5営業日後
- 国内発行のVisa、Mastercardブランドのクレジットカード、デビットカード、プリペイドカード
三井住友カードの「請求書支払い代行サービス」では、請求書の支払い方法が銀行振込のものであれば何でもカード決済可能です。ただし、納付書やコンビニ払い等の支払い用紙でのお支払い分、また個人(法人格を持たない方)への支払いはできません。
サービス開始当初は、利用できるカードが三井住友カードだけ(2022年3月現在)でしたが、今は同社以外のカードでも利用できます。
申請用と承認用の2つのアカウントを作る必要があるので、一人で処理を行う場合は煩雑です。申請日から振込まで5営業日ほどかかるので急ぎの場合には向きません。
また、請求する側としては、ファクタリングより手数料が安く、融資より調達がしやすい「請求書をクレジットカード払いにするサービス」もあります。
マネーフォワード請求書カード払い
- 手数料2.7%(税別)10万円未満は一律3,000円
- 日本国内法人・個人事業主が発行する請求書が申請可能
- 国内の法人企業であれば利用可能
手数料は低く設定されています。マネーフォワード クラウド会計を利用している企業は導入が容易です。審査もスピーディです。
スタートアップ(外部投資家(VC、CVC等)からの調達実績がある または予定のある法人企業)向けに「マネーフォワード請求書カード払い for STARTUP」では、より優遇された手数料率2.4%で利用できます。
アメックスは使える?
上記のほぼすべてのサービスでアメックスブランドのカードは利用できないのですが、唯一「支払い.com」でセゾンカードが利用できます。つまりセゾンアメックスが利用可能です。
また、アメックスのビジネス・カード(アメックス発行のビジネス・グリーン、ビジネス・ゴールド、ビジネス・プラチナ)で、「請求書カード払い by GMO」が利用可能になりました。
個人事業主でも利用可能ですが、**適格請求書発行事業者登録番号(インボイス登録番号)をお持ちのカード会員のみが対象です。
手数料は以下の通りです:
・請求書1枚あたり50,000円未満の場合:一律1,500円(税込)
・請求書1枚あたり50,000円以上の場合:請求書金額(税込)の3%
注意点として、請求金額の一部をカード払いにしたり、複数のカードで1枚の請求書を分割して支払うことはできません。また、請求書のアップロードが必要で、利用には審査があります。さらに、適格請求書発行事業者登録番号(インボイス登録番号)を持つ取引先が発行した請求書のみが対象です。
なお、メンバーシップ・リワードのポイントは、手数料を含む利用額全体に対して付与されます。
請求書カード払い byGMO|クレジットカードはアメリカン・エキスプレス(アメックス)
サービス比較のポイント
サービスを選ぶ際に最も分かりやすい比較ポイントは、手数料の安さです。
もちろん、手数料は安ければ安いほど良いのですが、各サービスには異なる利用条件があるため、安いサービスが必ずしも利用できるとは限りません。
例えば、最低利用金額が設定されている場合や、請求書の提出が必要な場合、取引先が法人でないと利用できないケースなどがあります。また、カード会社側がサービス会社や支払い金額によって制限をかけることもあります。
そのため、手数料の安さを優先しつつ、利用条件を満たすかどうかを確認することが重要です。
法人、個人事業主向けのサービス | 手数料率 | 10万円支払った際の手数料 | 請求書不要 | 取引先法人番号不要 | |
---|---|---|---|---|---|
マネーフォワード 請求書カード払い for Startups | 国内で発行されたVisa/Mastercard/JCBブランドのクレジットカード・デビットカード・プリペイドカード | 2.97%(税込) 10万円未満は一律3,000円 | ¥2,970 | ||
INVOYカード払い | Visa、Mastercard、JCB | 3%(税込) 1万円未満は一律300円 | ¥3,000 | ||
三井住友カード請求書支払い代行サービス | 国内発行のVisa、Mastercardブランドのクレジットカード、デビットカード、プリペイドカード | 3%(税込) 1万円未満は一律300円 | ¥3,000 | ||
請求書カード払い by GMO | アメックスのビジネス・カード(アメックス発行のビジネス・グリーン、ビジネス・ゴールド、ビジネス・プラチナ) | 3%(税込) 5万円未満は一律1,500円(税込) | ¥3,000 | ||
DGFT請求書カード払い | Visa、Mastercard、JCB、Diners、セゾンカード | 請求金額(税込)の3.3%(税込) 1万円以下は一律300円(税抜) | ¥3,300 | ||
支払い.com | Visa、Mastercard、セゾンアメックス、UPSIDER | 4.4%(税込) UPSIDER は3.3%(税込) | ¥4,400 |
VisaはBPSP(Business Payments Solution Provider)、MastercardはBPAP(Business Payment Aggregator Program)、JCBはBPPS(BtoB Payment Service)という呼ぶ仕組みです。
2023年10月1日 作成
2024年12月4日更新
皆さんは「ポイント還元率が高いから」「ポイントやキャッシュバックなどのキャンペーンが良かったので」「友人知人が使っているから」といった理由でカードを選ばれることが多いと思います。お得ばかりを追い求めてカードを作り続けるとポイントが分散して貯まりません。それは入口にフォーカスしているからです。
入口=どこで使うか、出口=カードになにを求めるか、決済金額=一年にどれくらい使うか。
この3つの要素が揃って、はじめて有効なクレジットカードを選ぶことができます。大事なことは最終的にクレジットカードに求めるものを明確にすることです。つまり出口を決めることから始まります。当サイトでは「出口から逆算して決済金額で最適化する」ことを提案します。
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