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第12回 リクルートカード

カード業界の常識を覆す高還元率が話題の「リクルートカード」(年会費無料)と、上級カード「リクルートカードプラス」(年会費2,000円+税)。1.2%と2%という高還元は、いったいどうやって実現できたのか?ビジネスとして採算がとれるのか?付与されるリクルートポイントは、今後使い道が増えるのか?そんなギモンを解くべく、クレジットカードDB編集部では、リクルートカードを運営するリクルートライフスタイルの本社でご担当者に直撃インタビューを行いました。

<株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス推進室 狩野真依子氏 >
(取材日:2013年8月 取材・構成:クレジットカードDB編集長 大澤日出男)

なぜリクルートがカードを始めたのか!?

-- 今回、リクルートさんは、初めてカード事業に参入されました。リクルートといえば、ユニークで斬新な新規事業を生み出す会社として有名ですね。今回のクレジットカードはどのような経緯で生まれたのですか?

狩野 「クレジットカード事業は、リクルートのポイントプログラムである『リクルートポイント』を充実・拡大するという戦略の一環として立ち上げました

リクルートでは、2011年4月にまず『じゃらんnet』と『ホットペッパービューティー』において、相互に利用可能なポイントサービス『じゃらん×ホットペッパーポイント』を開始しました。その後、複数のサービス連携を実施し、IDポイントの共有化を進め、2013年5月30日には、名称も『リクルートID』『リクルートポイント』に変更致しました。

ポイントプログラムが、ユーザーの利便性の高いポイントプログラムとなるには、『貯まりやすく、使いやすい』という点が重要だと考えておりますが、今回のクレジットカード発行により『貯まりやすい』という点を充足できると考えています」

驚異的な還元率「1.2%」と「2%」のワケ

-- 「貯まりやすい」というのは、おっしゃる通りですね。ポイント還元率はリクルートカード(一般カード)が1.2%で、無料カードとして業界トップ級。リクルートカードプラスは還元率2%で、「カード業界全体でトップクラス」といえると思います。これだけ還元率を高くした理由は一体何ですか?

狩野 「還元率を高くしたのは、ユーザーの声にお応えした結果です。弊社では、今回カードを発行するにあたって、あらかじめ、一般の方々に多数インタビューをさせていただき、どういったことをお客様がご要望されているのかをヒアリングしました。

結果としましては、多くのお客様が『ポイント還元率』『年会費』『保険』の3点について重視されているということがわかりました。

ですので、この3点については最高水準のものを提供させていただきたいとの思いで、サービス内容を設計しました」

2%台乗せの理由

-- 消費者がカード選びで重視する3点のうち、還元率を徹底的に追求したのが、年会費2,000円(税抜)の「リクルートカードプラス」ですね。還元率が2%という大台に乗っています。

狩野 「はい。『大台』に乗せさせていただきました(笑)」

-- なぜそこまで、高くしたのですか?

狩野 「カード事業としての収益は考えず、最大限お客様に還元させていただこうと考え、検討した結果、2%という数字になりました

-- これだけ還元率が高いということだと、社内で慎重な意見はありませんでしたか?

狩野 「クレジットカードで利益をあげるのではなく、すべてお客様に還元する、というところで一致していました。カード発行会社さん(JCBと三菱UFJニコス)を含め、最高のカードを作ろうということで協議を続けさせていただいた結果、この商品性になりました」

年会費無料なのに1.2%の大盤振る舞い

-- リクルートカードは、年会費は完全に無料ですね。なおかつポイント還元率も1.2%でかなり高いです。

狩野 「そうですね。こちらのカードは、まず年会費無料のカードを提供させていただきたいというところからスタートしました。

ただし、年会費無料であっても、ポイント還元率の高さはお客様が求められているところなので、そちらも最大限がんばろうというところで、1.2%という還元率に落ち着きました

-- 年会費はこれからもずっと無料なのですね。

狩野 「はい。そうです。永久無料のカードです」

さすが優良企業!「カードで儲けるつもりはない」

-- この高還元でも事業として成り立つのですか?

狩野 「起点が「ユーザーの利便性の高いポイントプログラムにする」なので、弊社ではカードによる収益は考えていません。利益となるものはすべてお客様に還元する方針で運営しています

-- カードによる収益は考えていないということですね。

狩野 「はい。利益はすべてポイントで還元させていただいております」

-- カードのユーザーにとっては大変うれしいことですね!

狩野 「はい。そう思っていただいて使っていただきたいですね」

-- ということは、御社としては、従来からある他の事業で稼ぐということですね。

狩野 「そうですね。弊社はポイントプログラムをより充実したものにするためにクレジットカード事業をやっておりますので、お客様がポイントを『貯めやすい』『使いやすい』と思っていただき、ゆくゆく弊社のサービスをご利用いただけるのであれば、それで成功と思っております」

-- これだけ還元率が高いと、利益を全て還元するというより、むしろマイナスになってしまうのでは?

狩野 「現在は、クレジットカードだけでもかなりキャンペーンを実施しているのですが、その分はマイナスですね」

-- これだけポイントを付与していたら、年会費だけではカバーできないですね。

狩野 「はい。全くできていないです(笑)」

-- まあ、その分お客さんが得するということですね。

狩野 「はい。その分、いずれ弊社のサービスを使っていただければ幸いと思っております」

-- 現在、ポイントの会員数はどのくらいですか?

狩野 「ポイント会員数は非公開ですが、リクルートカードの発行により、大分数は増えてきています」

会員数は順調な伸び

-- 2013年5月の発行開始以来の手ごたえを教えて下さい。会員数はどうですか?

狩野 「はい。数字は非公開とさせていただいておりますが、私たちの当初の計画に沿って順調に会員数は増えています。カード会社さんによると、初期のカードとしてはいい状態で進んでいるのではないか、とコメントをいただいております」

-- かなり良い出だしなのですね。

狩野 「はい。出だしとしては良いです」

30代、40代の女性に人気

-- 会員さんの構成比として、何か特徴的なことはありますか?

狩野 「現時点では、30~50代の女性の方のご加入が若干多い状態となっております

-- それは、リクルートのサービスの利用者に30~50代の女性が多いからでしょうか。

狩野 「いえ、弊社のサービスを使ってくださるお客様は、全国の人口分布と同様に、20代から60代までいらっしゃいます」

-- 30代、40代の女性がよく利用されるサービスは、「じゃらんnet」ですか?

ポンパレ狩野 「『じゃらんnet』もよく使われますし、共同購入サイトの『ポンパレ』も多く利用されています。女性の方は一般的に、通販などネット上のECを使われる方が多いと言われているので、おそらくその点が影響しているのかもしれません」

-- どのような方が、「リクルートカードプラス」を選んでいますか?

狩野 「過去にリクルートのサービスをご利用いただいたことのある方が多いと思われます。現在ではCMも始まりましたが、それまでは、主にリクルートのサービスを使っていただいている方を中心に訴求するというかたちで数か月やってきました。

そのため、リクルートカードプラスの現在ご加入くださっているお客様は、過去に一度はリクルートのサービスを使っていただいた方が多いと思います

-- そういった方々はリクルートポイントの使い道を十分に心得ているということですね。

狩野 「はい。ご存じいただいているというのが(入会動機として)大きいと思います。

ポイント自体は、2011年からじゃらんとホットペッパーで共通化したポイントとして展開させていただいているのですが、『リクルートポイント』と名称が変わったのが今年(2013年)の5月30日です。やはりリクルートサービスを使っていただいていない方に対してのご案内はまだまだこれからだなと思っています。」

ポイントの使い道は広がる?

ホットペッパービューティー-- リクルートポイントは、「じゃらんnet」で予約した宿泊施設の宿泊代金や、「ホットペッパービューティー」で予約した美容院やネイルサロンの支払いに使えますが、今のところリクルートのサービスでの使い道に限定されているようです。電子マネーや航空マイルなど、自社サービス以外にポイントの使い道を広げるお考えはありませんか?

狩野 「一部ポイント交換などもスタートしておりますが、現時点ではまだリクルートのサービスで貯まり、使えるポイントというプログラムにとどまっていると認識しております。今後は、お客様のニーズを踏まえ、展開を検討していく予定です

-- 一部ポイント交換などもスタートしているというのは、これはどういう交換ですか?

狩野 「既に、三菱UFJニコスさんのポイントとの交換を実施しています。三菱UFJニコスさんのポイントを弊社のポイントに換えられるというサービスです。」

リクルートポイントで今できること

-- 一番ユーザーが知りたい点は、ポイントのうまい使い方だと思うのですが、「じゃらんnet」や「ホットペッパービューティー」以外におすすめの使い方はありますか?

狩野 「リクルートポイントは、日常生活に関係するサービスで幅広く使えます。旅行、購入系、美容系、グルメ系、その他、マタニティ、ベビー服の通販サービスの『赤すぐnet』、高級食材の通販サービス『ごちまる』、会員制ファミリーセールの『MARQREL(マルクレル)』など、いくつかまだ知られていないような穴場のサービスがいくつかあります。ポイントの使い勝手をよくするという意味で、常時ポイントが3%付与される総合通販サイト『ポンパレモール』も始めさせていただきました。

貯めたポイントを利用したら、『美容院でヘッドマッサージをプラスできた』、『飲み会の金額が安くなった』、『宿泊プランをランクアップできた』、『欲しかったものがポイントだけで買えた』など日常消費が少し楽しくなる、嬉しくなるといったプラスをご実感いただけますと私たちも大変嬉しく思います。今後もポイントを使えるシーンを増やしていきますので、どんどん使いやすさはよくなっていくと思います」

飲み代が安くなる!?

ホットペッパーグルメ-- 「飲み会の金額が安くなる」というは、どういうことですか?

狩野  「ホットペッパーグルメでは、お食事券というサービスを提供させていただいております。貯まったポイントでこのお食事券をご購入いただき、店舗さんに持って行っていただければ割引が受けられます

また、『じゃらんnet』『ホットペッパービューティー』『ポンパレモール』などは、予約時や購入時にポイント利用を選択されますと、合計金額からポイント分が割引されるようになっております。」

「カード決済のポイント」+「サービス利用のポイント」

-- リクルートカードでリクルートのサービスを利用すると、カード決済のポイント還元に加えて、各サービスの独自のポイントがもらえますね。

狩野 「はい。リクルートカードは1.2%、リクルートカードプラスは2%のポイントがつきますが、さらに、『じゃらんnet』や『ホットペッパービューティー』など弊社の特定サービスを使っていただく場合にもポイントが貯まります

たとえば、ECサービスの『ポンパレモール』の場合は3%、『じゃらんnet』ですと2%のポイントが貯まり、さらに事前にオンラインカード決済していただくとプラス1%のポイントが貯まります

そのため、リクルートカードと合わせて弊社サービスを使っていただきますと、プラスで最大5%、キャンペーンを実施していなくても通常で5%貯まります。この点はリクルートならではの使い方かなと思っております。」

じゃらんnet-- じゃらんnetの場合、支払い方法を問わず2%のポイントがつき、さらにカードで事前決済をするとプラス1%で合計3%。さらにリクルートカードプラスなら2%が追加されて5%、リクルートカードなら1.2%が追加されて、4.2%になるということですね。

狩野 「はい、その通りです。ちなみに、通常還元ポイントに加えて、ポイント還元キャンペーンを実施させていただいております。たとえば、『ポンパレモール』ですと、通常3%還元なのですが、頻繁に10%還元キャンペーンというのをやっております。

また、出店されているショップさんのキャンペーンを合わせると、月に2~3回ぐらいは20%還元キャンペーンを実施することがありますので、弊社のサービスとリクルートカードを併せてご利用いただく場合には、さらにお得をご実感いただけるかと思います」

ゴルフでもお得

じゃらんゴルフ狩野 「最近は、『じゃらんゴルフ』というゴルフ場の予約ができるサービスが始まりました。じゃらんゴルフは、たとえば、1万円のプランを8人で行くと8万円になります。それに対してじゃらんゴルフのポイントが1%つくので、1回で800ポイントが貯まります。さらにリクルートカードプラスを使っていただくと+2%、合計3%還元されますので、1回で2,400円ポイントが貯まります」

電子マネーのチャージに最適のカード

電子マネー 電子マネー

-- 電子マネーにチャージして貯まるポイントの還元率も、業界最高水準ですね。これも、電子マネーでポイントが貯まった方がよいというのも、事前のユーザーへのヒアリングで分かったことなのですか?

狩野 「電子マネーを使う場合も、同じようにポイントが貯まる方が嬉しいだろうということを検討の中で話し合い、実現したものです

-- 電子マネーのチャージでポイントを付与してしまうと、経営的には収益が圧迫されるようですね。多くのクレジットカードでは電子マネーのチャージではポイントがつかないようになっていますね。

狩野 「そうですね。その点はカードのアピールポイントではありますが、アピールし過ぎると痛い目にあいますね(笑)。ただ、電子マネーとの相性が抜群なのは確かです」

ポンパレモールはブレイクするか!?

ポンパレモール-- リクルートカードを使いこなすうえで見逃せないのが、2013年3月に始まったリクルートの総合通販サイト「ポンパレモール」です。このモールは現在どのくらいの規模ですか?

狩野 「店舗数は出店申し込み済みで800店程度(2013年8月現在)です」

-- 反響はどうですか?

狩野 「現状、毎月100店舗ずつくらい加盟クライアントさんが増えている状態です。

なぜ増えていっているのかというと、一つは、加盟店手数料を2.5%と非常に安価にさせていただいていて、月額の利用料も3万円以下と安いというところで、加盟店さんに加入いただきやすいというのがあります

また、ポンパレモールにご参加いただいたタイミングで新規のお客様が増えた、というお声をいただいております。

また、ユーザーの方の反響については、ポイントが3%必ずつきます、キャンペーンも10%、20%をやっています、ということを私たちが伝えられればいいなと思ってはいるのですが、そこはPRがまだまだこれからですね」

-- ポンパレモールはポイント還元が3%で、通常の通販サイトの3倍となっています。そこまで踏み込んだ理由は?

狩野 「ポイントが一番貯まる・使えるECモールを実現し、ポンパレモールの活性化を加速させることと、リクルートポイントをよりお得で使いやすいポイントにしていくことが狙いです。リクルートの利益をユーザー・出店者に還元していくというスタンスによって実現できています

-- ネット総合通販はすでに楽天やAmazonなどによって寡占化が進んでいます。この時点で参入して既存の大手に対抗できるのでしょうか?

狩野 「ポンパレモールも、リクルートID、リクルートポイントユーザーの利便性UPがモール開設の大目的でもありますので、特定の大手他社様を特段意識しようとは考えていません」

-- 楽天やAmazonと比べて、ユーザー側にはどのようなメリットがありますか?

狩野 「やはりポイントの話になりますが、定常的にポイント3%という高還元率が特徴で、キャンペーンなどと組み合わせると日常的に10%、20%といったポイント還元を獲得することもできます。日々のお買い物をよりお得に楽しんでいただけるモールになっています。今後は、『リクルートカード』『リクルートカードプラス』会員様限定のキャンペーンも継続的に実施していく予定です」

-- 3%というのは、これからも続けるのですか?

狩野 「はい。今後も続ける予定です。」

-- ポイントは、加盟店さんが負担するのですか?

狩野 「加盟店さんにいただいている手数料の中から弊社が払っているといかたちになります。お客さんがポイントで買い物をしても、加盟店さんにプラスアルファで負担があるというわけではないです」

-- これからショップは増えますか?

狩野 「現在、月100店舗程度ずつ新規のご出店を頂いていますので、今後もこのペースで拡大をし、商品点数を増加させていきたいと考えています」

充実した付帯保険

-- リクルートプラスは、海外も国内も旅行保険が付帯されるので、旅行者にはたいへんお得。これは、旅行好きの人がカード会員になることを想定したものですか?

狩野 「付帯保険もユーザーが重要視する観点として重視しておりました。加えまして、弊社はじゃらんnetという旅行のサービス、またポンパレ、ポンパレモールというECサービスを展開させていただいておりますので、旅行傷害保険及び、ショッピング保険は充実したものにしたいと考えておりました

結果として、年会費無料カードでも海外だけでなく、国内旅行傷害保険が付帯し、 リクルートカードプラスにおいては、国内・海外旅行傷害保険が補償3,000万でさらに自動付帯という最高水準の商品性をご用意するに至りました。」

--ありがとうございました。

(文中敬称略)

※リクルートカードプラスは2016年3月15日(火)午前11:59時点で、リクルートカードホームページ受付完了分をもって新規申込み受付が停止になります。また、リクルートカードプラスは 2016年9月16日(金)より、電子マネー「nanaco」、「モバイルSuica」へのチャージ分については、ポイント加算の対象外となります。年会費無料のリクルートカード(JCB)については変更ありません。

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