第9回 Ponta Premium Plus(Ponta プレミアム・プラス)前編
日本全国に急速に普及を続ける共通ポイント「Ponta」。そのPontaが猛スピードで貯まるクレジットカードが、2013年3月に登場しました。その名は、「Ponta Premium Plus(Ponta プレミアム・プラス)」。すでに2年前からあった「Ponta Premium(Ponta プレミアム)」がリニューアルされ、ポイント還元率が大幅アップ。名実ともに「最強のPonta系クレジットカード」として生まれ変わりました。クレジットカードのサービスの改悪が珍しくないなか、あえて抜本的な改善に踏み切った理由は何か。クレジットカードDB編集部が、担当者に直撃インタビューをしました。
<株式会社ジャックス 営業戦略本部 松村徹氏 >
(取材日:2013年4月 取材・構成:クレジットカードDB編集長 大澤日出男)
リニューアルで高還元率カードに
--「Ponta Premium Plus」(Ponta プレミアム・プラス)は、リニューアルしてからちょうど1か月くらいですね。反響はいかがですか?
松村 「おかげさまで、大変ご好評いただいております。Ponta はロイヤリティマーケティング(以下、LM社様)という企業が運営しているのですが、LM社様のカスタマーセンターの方にも、お客様からの反響が非常に大きいと聞いております。出足としては順調ではないかと思います」
--今回のリニューアルの特徴を教えてください。
松村 「今回のリニューアルは、ポイント還元率が大幅にアップしたことが特徴です。
リニューアル前の旧カードでは、ポイント還元率は0.67%でしたが、今回のリニューアルによって、どこで使っても1%、さらにさまざまな特典やPontaの提携店でもポイントがつくことになり、たいへんな高還元率になりました。
また、100円で1ポイント、というポイントの付き方の分かりやすさも、リニューアルした Ponta Premium Plusの特色です。
旧カードも還元率0.67%だったので、一般的なクレジットカードの還元率0.5%を上回る内容だったのですが、ポイントの付き方がわかりにくいというデメリットがありました。
旧カードは、クレジットカードをよく研究されているような方であれば、通常より還元率がいいということはわかっていただけたのですが、一般のお客様には、クレジットカードとしては還元率が高いのだということは、ちょっとわかりづらかったようです。
そのため、われわれとしては、今回のリニューアルで思い切って、わかりやすくPontaポイントが貯まる、ということをコンセプトにしました」
--リニューアル前のカードがちょっとわかりづらかった面があるとおっしゃったのは、どのような点ですか?
松村 「旧カードは、300円で2ポイントが付与されるという方法でした。
100円で1ポイントが貯まる、というPontaの認識からすると、300円で2ポイント付与というのは、パッと見たときに還元率がいいのか悪いのかわからない、計算しないとわからないような状態でした。この点が旧カードの反省点でもあります」
最強のPontaカード
--今回のリニューアルで「100円のカード利用で1ポイント」とすることで、わかりやすくなったということですね。
松村 「そうです。Ponta Premium Plus は、Pontaの運営企業としてのLM社様と弊社が提携した、Pontaの公式のクレジットカードであることも特徴です。
ローソン様やルートイン様なども、Pontaのクレジットカードを発行されていますが、そうしたカードは、ローソン様のようなPontaの提携社様が、カード会社と提携をして発行しているという位置づけです。オフィシャルなPontaのクレジットカードいうのは、Ponta Premium Plus だけです。
そうした意味でも、Ponta Premium Plus は『最強のPontaカード』だと思っております。もちろん、リニューアルする前も魅力あるカードだったのですが、そこまでお客様にアピールできませんでした。
今回のリニューアルで、『高還元率』と『わかりやすさ』を実現し、Ponta Premium Plus が一番お得なカードなのだということを明確に打ち出しています」
Tカードとの違い
--Ponta Premium Plus は、どこで使っても1%ですね。たとえば、「ファミマTカード」の場合は、Tカードに加盟していないお店で使うと還元率が0.5%と低くなりますが、こうしたカードの2倍の還元率となりました。
松村 「Ponta加盟店でもそうでなくても1%の還元率を実現したのは、Pontaポイントの経済圏の拡大の観点とユーザー様への強烈なインパクトを狙ったものです。
これは、弊社のプロパーカードのポイントもそうなのですが、基本的にクレジットカードのポイントは、いわゆる『クローズドポイント』と言って、ある意味利用できる範囲が限定されたポイントがほとんどです。
しかし、Pontaは、『共通ポイント』として、お客様がさまざまなところで貯めたり利用したりできる汎用性のあるポイントであるということが大きな強みです。
その強みを生かして、Pontaのお得感をより明確に感じていただくために、どこで使っても高還元率という設計にしました」
共通ポイントの常識を打ち破った
--これまで共通ポイント系のクレジットカードといえば、そのポイントに加盟する店以外では還元率が低めになっているというのが常識でした。しかし、Ponta Premium Plus は、その殻を打ち破ったような感がありますね。
松村 「そうですね。弊社としては、Ponta会員様にカードのメリットを感じていただくだけでなく、Pontaの提携社様にもメリットを感じていただきたいと思っております。Pontaのオフィシャルカードとして、弊社でカード発行したお客様を Ponta の提携社様に積極的に送客できるような形になればよいと思っております。
Pontaの提携社様、いわゆる『Ponta連合』の中でも、Ponta Premium Plus は良いカードだと思っていただきたいですね」
--Pontaの提携社様に、Ponta Premium Plus を「オススメのカード」として扱って欲しいという狙いもあるのですね。
松村 「はい。もちろん、自社で Pontaポイントがついたクレジットカードを発行されていらっしゃるような提携社様はなかなか難しいのですが…。
ただ、リニューアル前の Ponta Premium Plus は、提携社様にとっても『それほどお客様にとってインパクトがあるかな』と感じられることもあったと思いますが、リニューアルでカードのスペックをグレードアップし、誰が見ても最強で非常に良いというカードになりましたので、今後は提携社様にとってもお客様におすすめしやすいカードが実現できたと考えております。また、Ponta Premium Plus が Ponta サービス全般のプラットフォームとしての機能を担うカードに成長させたいとも考えております。」
「特別なカード」だからプレミアム
--「Ponta Premium Plus 」という名称なのですが、「プレミアム」ということは、他の Ponta 搭載のクレジットカードとはちょっと違う、ワンランク上、というイメージを出しているのですね。
松村 「そうですね。『プレミアム』というと、日本におけるイメージとしてはなんとなく高級、という印象があるかと思います。
Ponta Premium Plus は、高級というより『特別』といった意味合いで『プレミアム』というネーミングにしております。
もともと、『プレミアム』という言葉は、国際ブランドからの制限もあり、なかなか使用することはできません。しかし、リニューアル前の旧カードのときから、国際ブランドのJCBの承認をいただき、今回のリニューアル後のカードにも残しております。」
Pontaの大成功を追い風に
--もともとプレミアムのカードが、さらにグレードアップしたということですね。旧カードが発行されたのは2011年1月でしたが、どのような反響でしたか?
松村 「旧カードは、正直申し上げて、会員数の伸びに苦戦しました。
Ponta は、もともとは、『旧ローソンパス』や、ゲオの会員証をベースにスタートした共通ポイントサービスです。
Ponta のサービス開始から約3年で、Ponta の会員数は当初の事業計画よりも大幅に前倒しで加速度的に会員様が増えました。
一方で、弊社のカードの会員数はそこに比例しませんでした。これはカードの認知とメリットをアピールしずらかったことが要因と考えております。
今回のリニューアルは、これだけ普及した Ponta の人気をカードの会員につなげたいという意図がありました。
LM社様の方でも、クレジット機能つきのカードを持つお客様というのは、非常にロイヤルカスタマーであるという認識をお持ちであり、ロイヤルカスタマーの層がより厚くなればLM社様にとっても弊社としてもお互いにとって非常にメリットだという思いがあるので、より多くの会員様を取り込めればと思っております」
--Pontaカードを使ってよくお買物をされるお客様をしっかりとクレジットカードの顧客としても取り込むということですね。
松村 「はい。そうです」
初年度は年会費無料。翌年度も簡単に無料のワケ
--Ponta Premium Plus は、さらに年会費が初年度無料で、翌年度からも5万円使うと無料になる大変お得なカードですね。
松村 「はい。年間5万円ご利用いただくと、入会2年度目からも無料となる特典は、リニューアルで導入されたサービスです」
--かなり高額還元率のカードになったにもかかわらず、翌年以降の年会費無料のハードルを低くしている理由は何ですか?
松村 「もともとPontaカードの大半のお客様は、Pontaカードをポイントカードとしてお持ちになっていらっしゃいます。
そのため、カードに年会費を払うという発想自体がないお客様が多いですね。
Ponta Premium Plus は、年会費をいただくので、その年会費のハードルを下げることで入会の障害を取り、多数のお客様に入会いただきたいと思っております。
年会費を無料にしてしまうと、弊社の収益の面で難しいため、条件付きで無料として、無料となる条件はなるべく低く設定をしました。旧カードの会員数が伸び悩んだので、この点は、社内的には非常にさまざまな議論を重ねて決定しました」
ヘビーユーザーに大好評
--年会費の特典についての反響はいかがですか?
松村 「大変ご好評をいただいております。
旧カードのご利用率については、弊社の平均値より上回る率でご利用をいただいております。
リニューアルにあたって、Ponta Premium Plus は、特にヘビーユーザーの方にはかなりお使いいただけるだろうという確信はありました」
--ヘビーユーザーのお客様は Ponta 加盟店に行くと必ず Ponta Premium Plus で支払うのですね。
松村 「そうですね。カード加盟店でももちろんですが、やっぱりPontaポイントを貯めたいということなので、様々なご利用シーンでご利用いただいているのだなと感じております」
Ponta Premium Plus (ポンタプレミアムプラス) インタビュー 後編へ続く
(文中敬称略)