クレジットカードはどう変わる?

今、クレジットカードが大きく変わろうとしています。

2010年6月18日に資金業法、2010年12月に割賦販売法が改正され、クレジットカードの「キャッシング枠」と「ショッピング枠」に規制がかかります。

法改正の大きな柱は二つ。総量規制の導入と上限金利の引き下げです。借入時の上限金利が29.2%から20%に下げられる点は消費者にとってよろこばしいニュースですが、その反面、収益源が目減りしたカード会社は相次いでポイント制度を改悪しはじめました。

また総量規制によって、年収のない人はカードのキャッシングサービスが使えなくなることも判明。総借入残高が年収の3分の1を超える貸付などが禁止されるため、たとえば年収が300万円の場合、返済能力は100万円とみなされ、それ以上のキャッシング利用はできなくなります。

同じようにショッピング枠も規制されます。たとえばボーナス払いで支払い可能見込み額以上の商品を購入すると、支払い完了までどのカードでも分割払いができなくなります。

そもそも貸金業法改正の狙いは、消費者金融への規制を厳格化し、消費者の多重責務問題などを解消するといったものでした。そのためカードローンを含む銀行などからの借り入れ、住宅ローン、自動車ローンなどは対象外となっています。

はたしてこの二つの改正、どのような影響をどんな消費者たちに与えていくのでしょうか?

どうなる?カードのキャッシング枠

この資金業法改正を受けて、年収格差はどんどん顕著になっていくでしょう。

クレジットカードのキャッシングが年収の3分の1までしか利用できなくなるということは、つまり、年収の多い人ほど利用可能額は大きく、年収が少ない人ほど利用可能額が小さくなります。多い人のカードライフは今までとそれほど変わらないかもしれませんが、少ない人にとってはとても過酷な状況となってきます。

また1社のキャッシング枠あるいは借入金額が50万円を超える、もしくは全社での総借入金額が100万を超えている方は、カード会社に年収証明する必要があります。調査対象者は対応は各社によって異なりますが、対象者から年収証明が得られなかった場合は、キャッシングサービスを停止することを検討している会社もあります。送付期限は依頼日から二ヶ月と決められています。年収証明書の提出が求められたら、必ず早急に提出しましょう。なお、年収には、給与収入だけではなく、株式の譲渡益や不動産賃貸収入なども含まれます。

しかし、たとえ年収証明を提出しても、借入総額が年収の3分の1を超えていたら、キャッシュサービスはそれ以上利用できません。そしてキャッシングが利用できなくなっても、もしカード会社に借金をしていた場合、月々の返済はこれまで通りに行っていかなければなりません。
ヤミ金や自己破産を選ぶ人たちが増えることが予想されますが、そうならないために、無理のない返済方法を考えていかなければなりません。

そして消費者金融が規制された今、銀行のキャッシングやカードローンに注目が集まっています。銀行のキャッシュカードは総量規制の対象となっていないので、従来通りカードローンを利用できます。したがって、消費者金融等では借りられないお金も、銀行の審査基準さえクリアできれば、 キャッシングやカードローンで借り入れすることができます。銀行のキャッシュカードは消費者金融に比べて金利が低く、 またその銀行独自の優遇サービスが受けられる場合もあります。

銀行は審査が厳しいと思って諦めている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは銀行によって異なりますし、場合によってはパート・アルバイト・(配偶者持ちの)専業主婦でも借り入れを受け付けている銀行もあります。

最近ではクレジットカード現金化など、不正な取引でお金を得る方法も蔓延していますが、高利貸しと変わらないそういった業者を利用するよりも、まずは銀行にかけあってみたり、または法律事務所などに相相談して、今後の返済プランをきちんと考えていきましょう。

どうなる?カードのショッピング枠

キャッシングと同じように、ショッピング枠も12月から規制を受けることになります。規制の対象になるのは、ショッピング枠の分割払いやリボ払い。そして、実はここでも年収によって制限が生じます。ルールは貸金業法と異なり、人事院算出の標準生計費を、年収から差し引き、そこで出た数字に90%をかけた金額が、割賦利用の「支払い可能見込額」となります。

つまり、今後は包括支払可能見込額を意識しながらショッピングをしなければなりません。カードを選ぶ前に自分の枠がどれくらいあるかをきちんと計算して、どのレベルのクレジットカードが自分に見合っているか、よく考えて決めなければならないでしょう。

また、分割払いとリボ払いが規制対象になっていることも覚えていかなければいけません(一括払いは対象外)。最近リボ払いで決済をする方が増えていますが、いずれこの法律が施行されれば、リボ払いを利用しすぎて残債が貯まり利用停止になってしまう人たちが続出する事態が予測されます。さらに分割二回払い、ボーナス一括払いも対象です。

気になるのは、やはり専業主婦などの無収入者です。しかし割賦法では、無収入者の場合、世帯収入による与信が可能とされているので、キャッシングと違い自己申告になっています。もしショッピング枠の限度額が30万未満のクレジットカードであれば、延滞や債務の有無などを確認する簡易審査で発行されます。

では、どういった場合に問題が生まれるのでしょうそうか。
注意したいのは年収と割賦利用の兼ね合い。もし世帯主の年収が標準生計費よりも少なければ、割賦枠の付いたカードは発行されません。カードによってはショッピング枠と割賦枠が一緒になっているので、そういったカードの場合、カード自体の発行を断られる可能性があります。

そしてボーナス払いですが、高額商品を買うとそれだけで残りの支払可能見込額が大幅に減り、それ以降は分割払いやリボ払いが利用しづらくなります。これからはなんでもかんでも簡単に分割払い、ボーナス払いにするのではなく、あらかじめ自分の年収から支払い可能見込額を算出し、割賦利用できる金額を自分で認識して管理することが大事になってきます。

専業主婦はキャッシングを利用できない?

無収入の専業主婦は、この改正貸金業法の影響をもっとも受けるといわれています。なぜなら総量規制は「年収の3分の1を超える無担保ローンの貸付は禁止」とされているので、年収のない主婦は、既存、新規加入を問わず、カードのキャッシング機能は利用できなくなります。結果、主婦が持てるのはショッピング専用のカードのみということになります。

しかし今回の改正には、「配偶者と合わせた年収の3分の1以下の貸付は可能」という例外規定も用意されている模様。ただその場合、消費者側は、配偶者の年収証明書や同意書、住民票などの書類を用意する手間をかけなければいけません。さらにカード会社はその情報を管理する導入費を維持しなければならないので、現実としてこの保護策を適応してくれるカード会社は微々たるものでしょう。JCBや三井住友カード、三菱UFJニコスをはじめとしたほとんどのカード会社が、年収のない方へのカードは、この保護法を適応せず、キャッシング枠なしで発行していく方針のようです。

解決法としては、配偶者の家族カードでキャッシングを利用するという方法もあります。収入のある配偶者に本カードを申込してもらって、その配偶者の家族として家族カードを発行してもらえばいいんです。ただし、すべてのクレジットカード会社で家族カードでのキャッシング利用ができるわけではないので、申込む際には要確認です。

カード現金化に走るのはNG!

総量規制の話を聞いて、おそらく青ざめた方々も沢山いることでしょう。キャッシング枠の規制によって年収の3分の1しか借り入れができなくなったので、生活費などをキャッシングでまかないギリギリの生活をしていた方などは、今後どのように金策をしていけばいいのかわからず、途方に暮れるケースもあるかと思われます。

しかし、いくらお金を作るためとはいえ、クレジットカードの現金化などに走るのは禁物です。
ショッピング枠の現金化サービスにはサラ金も驚きの高金利と、リスクを沢山孕んでいます。

ショッピング枠の現金化とは、指定の商品を購入させて、キャッシュバックにより現金を手にすることをさします。その方法は業者によって異なりますが、いずれにしても手数料とクレジット金利がかかります。また甘盤では90%以上の還元率を謳っていても、年利計算ではそれほど利率はよくありません。看板に90%と書かれていても、実際は難癖をつけられ60~70%しか現金化してくれなかったというトラブルも多発しています。そして現金化の還元率90%は金利10%と考えられますが、これは年利ではありません。年利になおすと18~90%と業者によっては異常な数字になるケースもあります。

どちらにせよカードの換金はカード会社の規約を違反しているので、もしばれた場合、カードの利用停止はおろか没収まで考えられます。

総量規制Q&A

Q.カードは作りづらくなる?

A.カードの発行自体が難しくなりそうなケースは二つ。改正資金業法により、消費者金融系とクレジットカード会社系、双方の指定情報期間で情報交流が義務づけられたため、消費者金融での利用が多いと審査が厳しくなる可能性があります。また割賦販売法では支払い可能見込額の調査が義務化。算出に用いる標準生計費が年収を上回る場合、カードが発行されないケースも予想されます。

Q.海外旅行時、枠の増額はしづらくなる?

A.総量規制に伴なうキャッシングの利用は、海外であっても利用条件、枠の増額などの例外はありません。つまり借り入れ額の上限は年収の三分の一までなので、無収入の専業主婦などはキャッシングがおおむね利用できなくなります。一方、改正割賦販売法には、海外旅行や冠婚葬祭などの「一時増額」の例外があり、カード会社が目的や使用場所を確認することで与信審査なしに限度枠を増額することができます。

Q.キャッシングのサービスは利用できなくなる?

A.改正化資金業法はカード会社にとって大打撃。金利が下がり、利用者や利用額が制限される一方、運用コストは増加。某大手カード会社は、カードの特性やニーズを考慮し、休止を検討中と口にしています。すでに昨年、JR東日本やトヨタファイナンスは新規発行分のキャッシング機能を廃止。ユーザー特性次第で追随するカードもありそうです。

Q.消費者金融も利用している人はどうなる?

A.改正貸金業法で、カード会社が指定信用情報機関を通し,会員の消費者金融での借入金額を確認できるようになりました。結果、その額の大きさによっては与信審査が厳しくなるでしょう。また消費者金融を含んだ総借入残高が年収の三分の一を超えていれば問答無用でキャッシングが使えなくなります。総借入残高とキャッシング枠を足して三分の一を超える場合は、キャッシング枠が減額されます

Q.住宅ローンはどうなる?

A.住宅ローンは総量規制の対象外です。よって住宅ローンの支払いがあっても、カードの限度額には影響は少ないとおもわれます。また今回の法改正とは関係ありませんが、住宅ローンを利用するときに、金融機関がキャッシングの返済、カードの解約などを勧めるケースがあります。たとえばカードローンなどがある場合、住宅ローンの審査に悪影響があることが予想されるからです。住宅ローンをもし申請するのであれば、その前にいらないカードの解約や、ローンの完済をしておいたほうがよいでしょう。


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