皆さんは、ボーナス払いや分割払いを利用したことはありますか?これらは日本のクレジットカード特有の支払方法です。

「ボーナス払い」や「分割払い」と聞くと、クレジットカードのことはあまり知らなくても、だいたいどのような支払方法か想像がつくと思います。この点では、リボ払いよりもよほどなじみがある支払方法だといえます。しかし、実際に使われている取引の大多数は1回払いで、次にリボ払いが使われていますので、これらの支払方法を利用したことがある人は少数派です。

実は、海外ではカードを利用する際に支払方法を聞かれることはありません。デビットカード、クレジットカードなど、発行されるカードごとに支払方法が決まっています。デビットカードは銀行の預金残高から即時で支払うものですので、支払方法の選択肢がないことは想像できると思います。

クレジットカードも、海外では日本でいうリボ専用カードに近いものであり、お買い物の際に支払方法の選択肢はありません。

ボーナス払いは「いいとこどり」?支払方法ごとのメリットとは。

クレジットカードには、現金をもたず(キャッシュレス)に、国内や海外のお店やインターネット取引で使えるという利便性があります。さらには、支払いを先延ばしにできる利点もあります。支払方法ごとに比較すると「1回払い」の魅力は手数料がかからないことです。それ以外の支払方法で共通しているのは、1回払いよりも、さらに支払いの先延ばしができることだといえるでしょう。支払方法ごとの違いを、例をあげて比較してみましょう。

支払方法 支払月 支払金額 手数料 備考
1回払い 2月 30,000円 不要
リボ払い 2月~7月 5,000円×6回 必要 5,000円コースを選択
分割払い 2月~7月 5,000円×6回 必要 6回払いを選択
ボーナス1回払い 8月 30,000円 不要

 
こうやって見ると、ボーナス1回払いは、手数料がかからないうえに支払いの先延ばしができるため、利点の「いいとこどり」をしているといえます。カード会社によって違いはあるものの、12月中旬以降の買い物は8月に支払い、7月中旬以降の買い物は1月に支払うというものが多いです。

カード会社によっては、支払金額を1月と8月の2回に分割できる「ボーナス2回払い」という支払方法もあります。別途手数料がかかる場合が多いですが、リボ払いや分割払いの金利手数料より安くなるのが一般的です。

ボーナス払いは、お店にとっても利点があります。高額商品を買うのを慎重になっている人に対し、手数料がかからず、支払いを先延ばしできるという有利な支払方法を提示することで購入意欲を高め、販売につなげようとするわけです。ボーナス払いが日本特有である理由は単純で、この「盆」「暮れ」の時期にボーナスが支給される慣習が日本特有だからです。

リボ払いは危なくて、分割払いなら大丈夫?

手数料はかかるものの、支払いを比較的長期間にわたって先延ばしできるのがリボ払いと分割払いです。二つの支払方法の違いとして、リボ払いはあらかじめ毎月の支払金額を決めておけば、利用金額にかかわらず毎月の支払金額が一定となる支払方法です。これに対し、分割払いは商品価格を購入するたびに、購入価格を何回に分割するか決めます。

先ほどの例のとおり、30,000円分の買い物をする場合、金利手数料などのわずかな違いはあっても、リボ払いと分割払いでは大差はありません。しかし、次の例のように、その後からさらに60,000円分の買い物をする場合、その違いがよくわかります。

<例:12月20日に30,000円の買い物と60,000円の買い物をする場合>

支払方法 支払月 支払金額 手数料 備考
リボ払い 2月~翌年7月 5,000円×18回 必要 5,000円コースを選択
分割払い例① 2月~7月 15,000円×6回 必要 いずれも6回払いを選択
分割払い例② 2月~翌年9月 8,000円×6回

3,000円×14回

必要 30,000円の買い物:6回払い

60,000円の買い物20回払い

 
リボ払いの場合、追加で購入しても毎月の支払金額が変わりません。毎月の支払金額を意識しなくても済むため、リボ払いは、あまり考えずに使える支払方法ともいえます。そのため、債務(支払いすべき金額の残高)や金利手数料があまり意識しない間に増大し、気付いたときには返済が難しくなるくらいまで債務が膨らむこともありえます。

分割払いの場合、追加で購入すれば必ず毎月の支払金額が増加します。また、今月はどの買い物分の支払いをしているのかがわかりやすいです。追加で購入するたびに、支払回数の選択をしながら毎月の支払金額を意識することになるため、家計を圧迫するとわかれば、その買い物を控えるという判断にもつながるでしょう。

それでは、リボ払いが危険であるため、健全な分割払いが日本で誕生したのでしょうか。確かに、分割払いを志向する人から、今月の支払いがどの買い物の分なのかを管理したいという声があります。ただ、ボーナス払いでも、リボ払いでも、やろうと思えば管理は可能です。

日本には、クレジットカードが普及する前から家具や家電を月賦払いで買うという商習慣があり、これがクレジットカードに置き換わったのが分割払いです。分割払いをするにあたっても、支払可能な時期と金額を把握したうえで、購入すべきかどうかよく考える必要があるということに違いはありません。

日本ならではの支払方法が生む意外な弊害とは?

ボーナス払いや分割払いといった日本特有の支払方法の存在は、意外な弊害も生んでいます。お店でカードを使うためには、カード情報の読取端末が必要です。クレジットカードは世界中で使えるため、読取端末は世界共通の規格があります。ただし、日本特有の制度に対応するには、日本特有の端末が必要になります。ボーナス払いの支払月や、何回払いかといった情報処理も必要で、端末価格はどうしても高くなります。これは、クレジットカードの普及が遅れる原因の一つでもあります。

反対に、ボーナス払いや分割払いに対応しない端末を用意するお店も増えています。スマートフォンに取り付けるカード情報読取用の装具があるのはご存知でしょうか。最近、世界遺産である高野山の金剛峰寺でも、クレジットカードが使えるようになったと話題になりました。(このことは、また別の機会にお話ししたいと思います。)いずれにしても、ボーナス払いや分割払いが使えないお店は、今後も増えることでしょう。ボーナス払いは利用者にとって有利な制度であり、何かもったいない気もしますが、これも時代の流れでしょうか。


加藤 総(かとう そう) コンサルタント(金融・決済・教育に関する新規事業支援)、ベンチャー企業役員等。クレジットカード会社に約10年勤務後、デビットカード事業の立上げに参画するため、インターネット銀行に転職。カード事業の責任者など、約7年勤務したあとに独立。現在は、金融・決済・教育分野の新規事業参入支援のほか、各種調査、講演活動等を行うかたわら、カード業界向けの専門誌「月刊消費者信用」への連載寄稿のほか、「カード決済業務のすべて」「電子決済総覧2015-2016」等への執筆協力を行う「お金」の専門家。

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